先日ある特別支援学校で、生徒について担任の先生から以下のようなご相談をいただきました。

「この生徒は援助要求が課題なんです。『できなかったら先生に聞きなさい』『分からなかったら質問しなさい』といつも指導していますが、何も言わずにじっと座ってこちらの助けを待っている。来年度は企業実習に参加する予定ですが、援助要求ができないことで評価が下がるのではないかと心配です」

援助要求とは、困ったときに他者にヘルプサインを出すことです。一般就労の現場において援助要求は一つのスキルと考えられており、実習の評価項目に組み込まれていることもあります。この生徒さんは就労を希望しているそうで、先生が現状を憂慮しているのはもっともだと感じました。

「援助要求」と一口に言っても、さらに細かいスキルから構成されています。

まず「適切な状況判断ができること」。今、援助要求をする状況(困っている・できない)にあるかを判断する力が求められます。
次に「自発性」。職場では待っていても助けてもらえるとは限りませんので、自ら発信することが前提とされています。
3つ目は「適時性」。困っていることをタイムリーに表明することと、なおかつ頻回にならないことが重要です。
最後に「発信内容」。原則として「事実+相手にしてほしいこと」が雛型です。例えば、組み立て作業で必要な部品が足りない時は「○○(部品)が足りないのですが、どこに行けばあるか教えて頂けますか?(どこにありますか?)」といった具合です。

援助要求の苦手なケースは、上記の各ポイントをチェックしてみて、どこに・どのような問題があるのかをアセスメントする必要があります。そのために時には、援助要求が必要になる場面を支援者が意図的に設定することも必要です。

ちなみに冒頭の生徒さんのケースでは、よくよく話をうかがうと「援助要求そのものに抵抗がある」ことが大きな要因にあると考えました。成育歴やこれまでの経験から「できないこと」「わからないこと」に対して恥ずかしいという認識が根強く、さらに障害特性上、言葉での表出が苦手なことも関係しているかもしれない、という話になりました。

このケースに関する提案としては、「分からなかったら質問しなさい」「できなかったら聞きなさい」という関わり方はやめ、発信することが自体が評価される(=褒められる)という認識へ改めていくことを最優先事項として考えました。具体的には、作業学習の時間に使う日誌に「今日は何回、質問できましたか?」「今日は何回、作業の話をしましたか?」という項目を設けて記入させ、「できた回数」について正のフィードバックをする方針へ変更してもらいました。

課題となる行動の背景には十人十色の「理由」があります。アセスメントでその理由を検討し、その人に合った支援を展開していく必要があります。

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